明日3月13日は、40年以上前から続いている「3・13重税反対全国統一行動日」です。全国で600か所約25万人が集会やデモ行進、自主申告権・納税者の権利を掲げて確定申告書、財務大臣宛の請願書などを各地の税務署に提出する行動などが行われます。兵庫県では24会場に1万人近くが参加する計画です。
この行動を呼びかけている「兵庫県実行員会」は兵庫県商工団体連合会や兵庫県労働組合総連合などが構成していますが、毎年県知事に向けた要請書を提出し、回答を求める活動を続けています。今年は3月10日に井戸知事から回答書が届きました。
井戸知事は、税制度のあり方を提言する「政府税制調査会の特別委員」でもありますが、今回の回答では、消費税税率アップを含めた増税推進の姿勢をあらわにしています。
「県民負担増を進める『イドヒドイ』です」
(以下に要請項目と回答の全文を掲載します)
「3.13重税反対全国統一行動兵庫県実行委員会」要請書に対する回答
平成21年3月10日
3・13重税反対全国統一行動兵庫県実行委員会 御中
兵庫県知事 井 戸 敏 三
貴委員会からの「要請書」について、下記のとおり、回答いたします。
(要請①)庶民の税負担軽減に向け、減税・免税、国保料引き下げへの緊急措置を行っていただくこと。後期高齢者医療制度の中止を求める立場に立っていただくこと。
(回 答) 個人住民税は、住民が地域社会の費用について幅広く負担し合うという性格があり、平成19年度に実現した所得税から住民税への税源移譲によって、各地方公共団体の税収に占める割合も高まり、教育・福祉などの施策を展開するうえで、これまでにも増して、重要な財源となっています。なお、現行制度上、個人住民税においては、生活扶助を受けている場合は非課税としているほか、生活保護基準程度の低所得者が課税対象とならないよう非課税限度額が設けられるなど、低所得者に対する配慮がなされていますので、税の有する性格からも、低所得者であることのみを理由として現行の住民税における制度にさらに上乗せして税負担を軽減することは適当ではないと考えています。国民健康保険料(税)は、各市町ごとにその年度に必要と見込まれる医療給付費等の費用額から国庫負担金及び県支出金等の収入を控除して、保険料(税)として賦課することが必要な総額を算定し、賦課総額を加入者で按分する形で保険料(税)率を決定して賦課することとされており、保険料(税)率は、各市町における医療給付費等の費用額に応じて決定され、各披保険者ごとの保険料(税)は、所得、資産及び被保険者数に応じて決定されています。
したがって、適正な保険料(税)率を設定するためには、収入の確保、支出の適正化が必要であり、県としては、収入の確保にあっては、市町に対し、保険料(税)収納率確保向上について助言するとともに、保険料(税)の負担軽減のための国民健康保険基盤安定負担金をはじめ、調整交付金、高額医療費共同事業費負担金、国民健康保険事業費補助金等の助成を市町に対し行っています。また、支出の適正化にあっては、保健事業、診療報明細書点検事業等による医療費適正化対策について、市町に助言を行っています。後期高齢者医療制度は、①後期高齢者の心身の特性に応じた医療サービスを提供すること、②高齢者世代と現役世代の負担の公平性を図るとともに制度の運営主体を明確にすることを目的に、独立した新たな医療制度として創設されたものです。政府・与党においては、高齢者の置かれている状況に十分配慮し、新たな保険料軽減対策や、普通徴収対象者の拡大など、きめ細かな措置が講じられたほか、厚生労働省に「高齢者医療制度に関する検討会」を設置し、さらなる見直しの検討が行われています。県としては、制度の早期定着と安定した運営のため、周知活動の強化や保険料負担者の見直し、年金天引き基準の見直しなどについて、国に提言するとともに、制度の実施主体である広域連合に対して、市町とともに円滑な運営に向けた支援を行っているところですが、引き続き、国における検討状況を注視するとともに、必要な要望・提案を行うこととしています。
(要請②)消費税の税率引き上げは、イギリスやEUなど世界的な間接税率引き下げの流れに逆行しています。消費税の税率引き上げに反対の立場を表明されるとともに、国民をあざむく「社会保障税化」に反対していただくこと。
(回 答)消費税の税収については、平成11年度以降、国の予算総則において、その全額を、地方交付税分を除き、基礎年金・老人医療・介護の経費に充てることが定められ、平成21年度予算において、これらの社会保障制度の経費16.2兆円のうち7八兆円が消費税収で賄われるなど、社会保障を支える財源として活用されています。政府税制調査会の平成19年11月答申において、「消費税は、勤労世代に負担が集中せず、経済活動に与える歪みが小さいなどの特徴を有し、税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしく、消費税の社会保障財源化につき、選択肢の一つとして幅広く検討を行うべきである」とされ、平成20年11月答申において、「高齢化の進展等により社会保障給付が経済の伸びを上回って増加していくことは明らかであり、当面は景気対策を優先せざるを得ないにせよ、将来世代に負担を付け回しすることなく信頼できる社会保障制度を次世代に引き継いでいくために、増加していく年金・医療・介護等の社会保障給付や少子化対策に必要な財源を安定的に確保することは、国民の安心のために喫緊の課題である」とされています。いずれにしても、今後の税率等を含めた消費税のあり方については、「中期プログラム」において経済好転後に実施することとされている税制抜本改革に向けて、少子・高齢社会を支える税制の構築を進めていく申で、十分検討すべきものと考えています。
(要請③)県民緑税を廃止していただくこと。2009年度県予算案に示された、大型開発や大企業への補助金をやめて、県民の福祉・医療などを守る財源をつくり出していただくこと。
(回 答)県民緑税は、県民総参加で、洪水・渇水の防止、土砂流出防止、温暖化防止、安らぎの空間の剔出など多様な公益的機能を持つ「緑」を、次の世代に引き継ぐための仕組みであり、現行の課税期間である平成22年度分まで、「災害に強い森づくり」及び「防災・環境改善のための都市の緑化事業」に活用されます。今後とも、これらの事業の展開を通じて、県民の皆様にご負担いただいた県民緑税が緑の保全・再生に活かされていることを十分お示ししていくとともに、より一層、緑の保全・再生を社会全体で支える県民緑税の意義をご理解いただけるよう努めていきたいと考えています。阪神・淡路大震災からの創造的復興を進めるため、これまで本県は、他府県にない巨額の財政支出を行ってきました。今後は、震災で悪化した財政の改善を図りながら、元気で安全・安心な兵庫づくりに全力で取り組まなければなりません。職員定数の削減と給与の見直しによる人件費の抑制、事務事業の見直し、投資事業の水準見直し、自主財源の確保等、新行革プランの取組みは、まさにそのための基盤、枠組みを確立するためのものですので、ご理解をお願いします。
(要請④)政府税制調査会特別委員として、税金は応能負担の原則のもとで大企業に応分の負担を求め、動労所得には軽く生活費には課税しないとする立場からご尽力いただくこと。
(回 答)政府税制調査会の平成19年11月答申では、今後の個人所得課税について、「税体系全体の議論や社会保障を含めた受益と負担の関係にも留意しつつ、その負担のあり方が適切なものとなるよう見直していく必要がある」としており、また、法人課税について、「少子高齢化が進行していく申で、国民の安心を支える基礎となるのは、経済と社会の活力であり、(中略)経済の活性化に向けて、引き続き税制改革が行われるべきである」との認識の下、実効税率の引き下げについて、「今後、厳しい財政事情の下、社会保障を支えるため広く国民に負担を求めていくこととの関係を踏まえ、課税ベースの拡大を含めて対応する必要がある」としているところです。平成20年11月答申では、「足下の経済社会情勢に大きな変動はあるものの、我が国経済社会をとりまく構造的な変化の申で税制が取り組むべき中期的課題には基本的に変わりがないことを確認」し、「中期プログラム」で示される税制抜本改革において、調査会の提言が十分に反映されるよう政府に要請しています。このように税制調査会では、国・地方を通じた極めて厳しい財政環境のもと、社会保障の安定財源確保、いわゆる格差の問題、成長力の強化といった大きな国民的課題の解決のため、中長期的視点に立って、税体系全体の抜本的な見直しを検討し、基本的な考え方を提言しており、今後とも、あるべき税制の構築に向けて議論を深めていきたいと考えています。
以上
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