病院9階の窓辺に広がる街の眺めは、16年前の地震の影響で瓦屋根が姿を消し、白を基調としたビルが高く低く並び立っている。
真夏の太陽が降り注ぐと、一面に真っ白い光が眼に飛び込んでくる。
まさに「白夏」だ。
五行説(*)から、季節に色が付き、夏は「朱夏」と、 「青春・白秋・玄冬」と並ぶが。
紅い日干し煉瓦の住家が点在する中国の風景から生まれた言葉かも…。
藁屋根日本なら「茶夏」になったかもしれぬ。
あながち、地震のせいだけではない。
これも社会の進化で、住居を始め建物も進化しているのだ。
70年ほど前、少年の耳に、日本銀行松江支店が新築の際、「3階建てでEV付き」と聞かされ、完成するやいなや、駆けつけたことを思い出す。
それにしても、「阪神」から16年。
建物の進化に比べて、東北の仮設住宅の現状はどうか。
夏の太陽熱が、まともに部屋に伝わってくる建物がほとんどだ。
このブログが7月下旬に紹介した、いわき市からの報告によれば、電気代がかさむため、エアコンをつけることができない入居者が多くいるとのこと。
この国は、いつから被害者が、加害者の補償を肩代わりしなければならない国になったのか。
ならば我らが、虚構の「安全神話」創作費用も、先の見えない収束費用もいらない再生可能エネルギーへの道を切り開こうではないか。
*五行説=古代中国に端を発する自然哲学の思想
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