4日(土)、日本科学者会議兵庫支部の記念フォーラムで、神戸大学中川和道教授(環境物理学)が「福島原発事故を読み解く」のテーマで講演されました。
まとめの中で、「新聞を読み解こう。疑問をもって読み、自分の意見を」と呼びかけられました。
講演で印象に残った点です。
〇放射線は事故でなくても浴びている
-自然放射線、医療放射線、米ソの核実験の残り
-日常生活での放射線被爆
日本平均 1992年:3.75mSv/年
(日本は医療放射線が多く、ラドンが少ない)
世界平均 1980年:2.4mSv/年
〇自然放射線への修復について
①DNAに書かれた設計図
-皮膚・臓器の再生、遺伝が成り立っている
②自然放射線でDNAはこわれる
③生物が進化によって獲得してきたDNA修復能力により、
自然放射線でこわれたDNAはある程度なおせる
〇自然放射線に耐えられる生物が生き延びてきた
◎放射線による「外部被ばく」と「内部被ばく」
〇外部被ばく
・α線:紙1枚で止まる
・Β線:アルミフォイル、木材、プラスチックで止まる
・γ線:重コンクリート、鉛で弱めるのみ、止まらない
〇内部被ばく
・α線は細胞ひとつで止まり集中的にエネルギーを与えるので確実にガンに、
体に入れない、洗い流すことが必要。
外部被ばくと内部被ばくによる人体への影響を、
混同して報道しているケースが多くある。
◎放射線による人体への確定的影響
・0.15Sv/年で40年勤務すると1%は発症する
・放射線利用はメリットがあるので、この人たちに代理で危険を引き受けてもらい、症状は社会が保障しよう
・社会は放射線許容量をできるだけ下げる義務がある
◎放射線による人体への確率的影響
・ICRP(国際放射線防護委員会)の1990年勧告-ガンが95%の確度で増加するのは200mSv/y。もっと低い確度でなら50mSv/yから増加が認められる。
・この勧告に対して異なる意見もある。
・しかし、ICRPは、公衆の被ばく限度について平常時は1mSv/yとしており、200mSv/yが安全なはずはない。
◎原発は毎年3ヵ月休んで燃料を取替え。冷却後取替えだから3ヵ月で福島原発は冷却のはず。9ヶ月かかるとしている工程表は変。発表されていない事態が起こっている可能性もある。中性子の値もきちんと公表すべきだ。
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原発事故当初、レントゲンで浴びる放射線量とを比較して、「安全」とマスコミで発言してきた「学者」。
自然界の放射線と混同した意見を述べた「学者」など。
4月上旬のABC放送「おはよう朝日です!」の水曜レギュラー・石田純一が番組中に思わず「御用学者」と言いましたが、素人にもわかる「御用」ぶりでした。
自然放射線を克服してきた人類の進化と、事故の影響を知らされることなく長期間放射線を浴びせられ続けてきた被害。
真理を探究すべき科学者の目を曇らせているのは、名誉でしょうか、地位でしょうか、利権でしょうか。
参考 《確定的影響と確率的影響》
-野口邦和日本大学専任講師の資料(1994年)より
しかし、宝くじと確率的影響では決定的に異なる点があります。
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