憲法県政の会幹事会は、先の知事選挙の後も県政変革に向けた活動を続けていますが、その一環として兵庫県議会の状況を把握し、報告・発信していくことを決めました。
今回は、知事選挙で私たちの代表として立候補したたかいの先頭にたった田中耕太郎代表幹事に、県議会本会議の傍聴レポートを依頼しました。今後も、田中さんの都合がつくかぎり、レポートをお願いしようと考えています。
【以下 田中耕太郎さんの報告です】(写真は本会議場傍聴席の田中さん・中央)
県会傍聴記(№1)
憲法が耀く兵庫県政をつくる会
代表幹事 田中耕太郎
9月30日(水)兵庫県議会―第302定例会2日目の代表質問を傍聴しました。
井戸県政3期目がスタート(8月1日)して、最初の県会であり、8月30日の衆議院選挙の結果、民主党中心の鳩山政権が誕生して、はじめての県会でもあります。
井戸知事が、兵庫県民の審判、国民の審判を受けて、どう対応するか、これからの県民要求実現のために、私たち憲法県政の会は、どんな活動が必要か、こういったことを見て、判断する出発点にしたいと考えました。
この日、代表質問は、自民党、民主党、公明党の順で行われました。
これまで自公政権と軌を一にしてきた井戸県政と、国政では野党になった自民党、公明党がどう対応するのか、また、これに相乗りしてきた民主党は政権与党になったわけですが、総選挙で公約した政策との関連で、どんなスタンスで井戸県政に向かうのかということも、一つの関心事です。
〔反省なく「変化に負けない」と知事答弁〕
自・公からは知事の「三選」を祝う言葉があり、それを受けて井戸知事は「あらためて責任を感じる」と応じましたが、新「行革」の推進を強調し、新型インフルや豪雨災害への対処も、大過なくできたと反省はありません。
例えばば、新型インフルエンザ対策では、自民党県議すら「第一波への(対応の)反省をふまえて」と質問したのに、保健所、健康福祉事務所の統廃合は「機能を集約した」と言い、一斉休校や一斉休業は「流行を抑えた」と自讃、ただ「神戸市との情報の共有に問題が残った」というにとどまりました。
また、8月9日、佐用町や宍粟市、朝来市を襲った台風9号による豪雨災害は、「激甚」の指定を受けたとか、想定を上回る雨量で5年前の水害でかさ上げした堤防を越えたというように説明調でした。
ただ「避難誘導のあり方は検討する」と述べていました。とても、責任を感じている答弁とは受け止められませんでした。
さらに、知事選挙でも大きな争点になった公立病院の統廃合で地域医療があぶない、弱者切りすての福祉医療削減などの問題では、病院改革のガイドラインにもとづく統合を推進し、福祉医療の削減ふくむ新行革プランの推進こそ、「財政の健全化」につながると「得々として」答弁する姿を何度も見ることになりました。
県民の命、健康、暮らしを守ることを犠牲にし、大企業応援の県政、国のレベルでは小泉内閣以来の構造改革路線そのものが批判され、自公政権が退場したにもかかわらず、そうした「変化に負けない」と答弁する知事には、正直おどろかされました。
〔悪政推進の自公勢力 腰の定まらない民主〕
知事は、市町合併を強引に進めたことで「地方の格差」が明らかになったと言いつつ、反省はまったくありません。
井戸知事は、道州制には批判的と評価されていますが、関西広域連合が行政の責任主体となり、事務の受け皿になることをむしろ歓迎します、近畿2府4県で参加しないところがあっても発足できると考えますという答弁を繰り返しました。
民主党議員の質問も、これに符節を合わせるように、基礎自治体(市・町)の強化を求め、「自助と共助」を強調していました。財政赤字にしないため、新たな住民負担を求めることがあっても当然と考えているものと思います。
憲法25条の要請は、健康で文化的な最低限度の生活を国民の権利とし、国はすべての生活部面で福祉の向上に努めることですが、こういう観点から国に要求するといった質問がなく、また答弁もありませんでした。
傍聴をとおして、自・公勢力は、国政で野党になっても、地域の県や市などの反動首長と結びついて、国民が拒否した貧困と格差拡大の政治を復権させ、まき返しをねらっていると感じました。
民主党は、自公政権を打ち負かすために、「生活重視」など、国民が期待する公約を掲げましたが、大企業優先と決別するとはいえません。ですから、兵庫県政でも知事与党をやめるにやめられないという感じです。
それにしても、緊張感が感じられない質問と答弁でした。
憲法が耀く兵庫県政をつくる会のメンバーである日本共産党は、6議席に満たないので代表質問ができません。
それだけに、憲法どおりの県政ために、県民要求の実現をめざし、学習や討論、そして行動が、地域や各団体で、すすめられる必要があるのでしょう。
(雑記)
2つある「傍聴者入り口」の上のほうから入ると、議場全体を見下ろす感じですが、その席があまりに急なため、立ちくらみを起こしそうでした。
たしか、本会議傍聴は3回目です。
以前は気づかなかったのか、午前と午後で3時間半も座っていたからなのでしょうか、イスが、議員や記者席のそれと比べても、はるかに窮屈で、とても「人にやさしい」傍聴席ではありませんでした。
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