「集会」では、東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター世話人の
村口至氏(宮城県塩竃市・坂総合病院名誉院長)が
「東日本大震災から2年 被災地からの報告」として講演されました。
宮城県の現状を話される前に、原発事故の問題点について、
「救援に行こうにもいけないため餓死者をも生み出す」
「何回もの長距離避難による衰弱で震災関連死が数ヶ月経って増えてくる」
「県外避難者が高止まりしている」などを指摘されました。
津波被害と原発水害にあった(福島県南相馬市小高区、原発から11キロ地点)、遠くの塔は原発施設
また、被災の現状、「復興」の問題点とともに、
医師として震災直後の具体的な救援活動についても話されました。
以下は、講演で印象に残った点です。
震災関連死
宮城県の死者9534人、行方不明者1324人、内震災関連死は812人。
震災関連死者数の数字は、「災害弔慰金に関する法律」によって認定された死者を示すため、
実態はそれを上回る可能性が大きい。
被災地の自殺
2011年6月~12月で、宮城県22人、岩手県17人、福島県10人、3県以外6人(合計55人)。
職業は、自営業・勤め人24人(44%)、年金生活者13人(24%)。
動機は、経済・生活16人、健康16人、家族問題11人、勤務問題9人。
震災1ヵ月後の石巻市門脇地区
障害者の震災死
宮城県沿岸部自治体の障害者手帳保有者で、
身体障害者の震災死は4%、知的障害者は1.4%、精神障害者2.8%。
同地区の震災全死者比率は1.4%。
生活保護者の死亡率
石巻市4.24%(全死亡率2.44%)
東松山市4.12%(同2.71%)
気仙沼市3.99%(同1.98%)
高齢者施設被災の背景
高齢者施設の9.9%が被災し、入所者312人が犠牲、職員は80人の犠牲。
犠牲が多かった背景的因子には、
高齢者の避難の困難さだけでなく、高齢者入居施設は
沿岸部の低価格土地(山林原野評価相当地)に建てられることが多いことが考えられる。
1㎡平均130円(簿価か)ということからすると、
「明治」以来の貧困な福祉政策によるものと思われる。
大震災後4ヵ月後、福島県いわき市仮設住宅での支援活動、今後も継続した支援が求められる
宮城県復興会議の異常さ
メンバー12人中、宮城県関係者は2人のみ、
議長は「創造的復興」の提唱者(三菱総研理事長)、
副議長1人は日本総研研究所理事長、野村総研顧問も委員に
(岩手県は16人全てが県内人、福島県は11人中3人のみ県外者)。
第1回会議冒頭で宮城県知事は
「地球規模で物事を考え、
日本の発展をも視野に入れた計画を作るうえで適切なアドバイスできる」委員構成にしたと発言。
「平成」の大合併の問題‐「構造改革」が被害を拡大し復興を遅らせている①
宮城県はこの数年で71の基礎自治体が35に半減。
石巻市は人口17.2万人で1.5倍、面積555km2で4.1倍、人口密度は0.36倍に。
基礎自治体が広大化して「支所」などと連絡が取れず被害を拡大した
保健所の縮小再編の問題‐「構造改革」が被害を拡大し復興を遅らせている②
保健所の縮小再編で県の保健師が激減し、市町村の保健師数と入れ替わった。
保健所は社会福祉部門と統合され「保健福祉センター」に吸収されたため、
保健所長の上に事務局幹部がすえられ、よってその権限は限定的になった。
その機能も「基礎自治体の要請に応じて動く」となったために独自の行動の範囲が狭くなった。
公務員削減の問題‐「構造改革」が被害を拡大し復興を遅らせている③
過去5年間で宮城県と県下市町村の公務員は4600人減。
全国の自治体職員の応援が入っているが絶対数が足りない。
都市計画作りなど復興事業の遅れの大きな要因になっている。
復興上の問題‐水産特区問題
142の港を40余の港に集約化。
効率化・合理化で国際競争力強化を口実に
復興上の問題‐防潮堤
高い防潮堤240kmで全海岸線を覆う。
ゼネコンの儲け確保(5000億円)、海岸線に人が住まなくなる
こうした国の動きに対し、岩沼市では土中にがれきを埋めた防潮丘「千年希望の丘」を津波浸水地区に整備する取り組みをしています
復興上の問題‐東北メディカルメガバンク
被災地は3世帯家族構成が多いので「貴重な遺伝子情報」得やすい。
脆弱な地域に医療支援をすると言って入り込み、小中学生から成人健診の対象にして、
創薬づくり、オーダーメイド医療の技術開発に使うもの。予算規模500億円
最後に、全国からの支援も得て、
被災地で私的医療機関再建助成の運動、被災者の国保減免運動、
農業・漁業興しでの協同、協業の新たな志向、公務員削減や市町村合併への問題意識、
地元マスコミの市民サイドからの論調などの変化が生まれていることを話されました。
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