10月6日~8日、「被災者本位の復旧・復興をめざして」「全国交流集会2012inみやぎ」が開催されています。
参加者からの現地リポート②です。
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10月6日の「名取市のカーネーション農家」「名取市閖上地区」「岩沼市『千年希望の丘』防潮堤」の被災地視察行動の報告です。
【名取市小塚原】
小塚原地区は、カーネーションの出荷量で東北一でしたが、
押し寄せたがれきで埋まり、2ヵ月も海水がひかずひどい塩害となりました。
その後、仙南地区のボランティアセンターなどを通じて
全国からきたボランティアによる泥出し・復旧作業などで
カーネーションハウスは復活しました。
その活動は地元マスコミでも報じられたとのことです。
〈農家の方の話〉
小塚原地区のカーネーションハウスは、
減反してつくったので低い土地柄のため、3mのがれきで埋まりました。
3月11日は母の日の前で最盛期だったが、カーネーションは全滅し、
機械類やボイラーも水に浸かったため廃棄せざるを得ませんでした。
しかし、行政やボランティアの支援は自宅優先で農地にはきません。
60坪のハウスを更地にするのに家族、親戚で4日かかりました。
うちは1000坪なので自分達だけではどうしようもありませんでした。
その後300人のボランティアに方によって8軒のカーネーションハウスが復活しました。
更地になってやっと希望がもて、その後、行政の助成制度も活用して、
除塩作業をすすめた。今は少しずつだが市場に出荷できるようになりました。
【名取市閖上地区】
閖上地区(5700人)の犠牲者は、名取市の犠牲者の87%796人です。
1年7ヵ月たっても行方不明者は57人います。
海岸から1キロ地点の建物は全て流され、
話をお聞きした日和山(標高6.8m)から360度建物がありません。
この日は高知県から漁具を入れる倉庫の寄贈される式典が行われていました。
〈地元議員の話〉
地震の一時間後に津波がきたが、防災無線が流されず被害が拡大しました。
公民館に避難した住民が「中学校に逃げろ」と言われて、
逃げる途中で流された方が多くいます。
この地域の世帯は大家族が多かったのですが、
仮設住宅の入居では世帯分離が認められず9人でも1世帯として扱われました。
行政はかさ上げ計画をもっていますが、
津波の恐怖から元の場所には住みたくないという思い、
行方不明者ががれきといっしょに埋もれている可能性もあり、
その上にかさ上げなどしたくないという思いがあります。
仮設住宅や借り上げ住宅の不自由な暮らしで、
泣いて暮らしている人がたくさんいます。
もっと被災者の立場にたって考えていただきたいと思います。
復興計画もコンサルタント丸投げのプランではなく、
住民の意見をもっと取り入れたものにしていく必要があります。
【岩沼市「千年希望の丘」防潮堤】
岩沼市は人口44000人、犠牲者138人、住宅被害3300世帯(20%)、浸水地域48%です。
市では土中にがれきを埋めた防潮丘「千年希望の丘」を
津波浸水地区に整備する取り組みをしています。
それは国交省などが考えている、長大な堤防ではなく、
何本もの堤防を重層的につくるものです。
高さは、今回の津波高7.2mより高い10m~15m、直径120mほどの人口丘を
数十個造り、丘の上に木を植えて防災林として津波の威力を抑えます。
またがれき処理もすすむことにつながり、
震災の記憶の後世に伝えるメモリアルパークとしての役割も果たすことになるとしています。
この事業は岩手県大槌町に次ぐものです。
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