3月18日午後、非核「神戸方式」決議37周年記念のつどいが開かれました。
兵庫県原水協の梶本事務局長が行った、基調報告の内、兵庫県政に関わる部分を紹介します。
末尾に基調報告全文のPDFを添付しています。
[兵庫県の責任は重大]
これまで3度、兵庫県が管理する姫路港に米軍艦が寄港を強行しました。
兵庫県は三度ともに、「非核三原則に係る状況について」米側に回答を求めました。
米側「回答」は、いずれも
「水上艦船、攻撃型潜水艦および海軍航空機に核兵器を配備しないことを、
一般政策としている」との「米国政府の一般方針」を述べる一方、
「個々の艦船に関しては、核を搭載しているか否かの議論を行わない」
というものでした。
これが、入港した米艦自体の核兵器積載の有無にまったく触れない、
事実上の「回答拒否」であることは明白です。
それでも兵庫県知事は、外務省の「事前協議なし」の「回答」とあわせて
「非核三原則を遵守している」と判断して寄港を認め、
「現実に艦船を調査できるわけではないが、
文書がないから(核の有無が)分らないと考えるべきでない」とまで言い切りました。
そして、三回目の寄港に際しては、
「非核証明は自己証明なので、
自己証明をいくら求めてもどれくらいの価値があるかわからない」
「自己証明を1000枚取ったからといって本当に証明になるのかどうか」として、
非核証明の請求そのものを否定する発言までしました。
さらに、「それよりも現行の枠組み、
米政府の基本的な考え方というものを前提に判断したい」
「非核証明を出しなさいと言うと、
個別の軍艦の状況について言及しなさいということになり、
出せということは入ってくるなということになる。
すくなくとも日米安保条約上の相互関係からすると
特定の理由なしに拒否をする理由がない」(記者会見)と、
米軍艦への全面開放の立場を表明する重大発言まで行いました。
兵庫県は、「核兵器に対する県民の不安を払拭するため」
「県民の平和と安全を守る立場から」と大上段に位置づけて、
米側に「回答」を迫ったはずなのに、
県民の安全よりも「米政府の基本的な考え方」を優先する態度を取ったのです。
「非核証明はこの程度でいい」
「特定の理由なしに拒否をする理由がない」との兵庫県の実績づくりは、
非核「神戸方式」崩しの重大な攻撃であり、強く抗議したいと思います。
兵庫県がこのような態度をとる根本には、
平和問題に対する消極的、否定的な姿勢があります。
兵庫県が、全国の都道府県段階で非核宣言を行っていない
数少ない県、6都県の一つであることはよく知られています。
日本の非核宣言自治体は、1789自治体中1555自治体。
実に86.9%にもなり、日本国民の反核の総意を示しています。
兵庫県では42県市町のうち37市町(88.1%)で非核宣言されています。
また「核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起し、
核兵器廃絶を実現させる」ことを目的とした平和市長会議には、
兵庫県で30市町が加盟しています。
この県民の非核の総意を受けとめない県政の孤立ぶりは明らかです。
井戸知事は、「非核宣言は議会の判断」と言い続けていますが、
一昨年3月、県議会では、平和市長会議が全国の自治体に行った要請に応えて、
「核兵器の廃絶と恒久平和実現に関する意見書」が採択されました。
「国際社会の先頭に立ち、核兵器廃絶に向けて行動する責務がある」とする
議会の意思が明確に示されたのですから、
兵庫県にただちに非核宣言行うべきです。
兵庫県の姿勢を示す問題として、
兵庫県を舞台にした米軍機低空飛行の危険があります。
これまでも但馬地域での米軍機の低空飛行訓練が問題になってきました。
昨年3月2日、岡山県津山市で、米軍機の低空飛行の衝撃波によって
民家の土蔵が崩壊するという事件が起こりました。
米海兵隊岩国基地所属の
米軍機、戦闘攻撃機FA18「ホーネット」2機によるものであることが確認されていますが、
兵庫県でも飛行していたことがわかりました。
たつの市新宮町、上郡町の住民が、米軍機2機の低空飛行に遭遇し、
あまりの轟音に驚き、おそらく警察、消防署などに通報が殺到したのでしょう。
西播磨県民局がそれを県に報告し、
県はその日のうちに外務省北米局日米地位協定室長あてに
「米軍機かどうかの確認」
「米軍機の場合、地域住民の不安を取り除くため、
今後、このような飛行が中止されるよう要請」しました。
米軍は、「日米合同委員会で認められた最低飛行高度で飛行し、
合意内容を守っている」との回答で、謝罪もしません。
兵庫県は、米軍に対して直接抗議し、危険な低空飛行の中止を要求するべきです。
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