「福島第一原発 風下の村」(森住 卓 写真集)より
私にとっても、
明らかに高汚染地での取材は精神的にきついものだった。
しかし、飯館村の人々が普通に生活を続けているというのに、
防護服に身を固めて話を聞くわけにはいかない。
私はできるだけ人々に寄り添おうと思った。
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「ダウンウィンダーズ(風下の人々)」という言葉がある。
核実験風下地域の人々を指す言葉だ。
米国やロシアをはじめとする核実験場周辺住民に
癌や白血病、奇形などが多発するなど、
長期にわたって放射能の被害を受けてきた人々のことだ。
彼らのほとんどは何の補償も受けることなく、
現在も被曝し続けている。
そして、その被害を生んだ側の責任が追及されることもない。
これまで、
世界の「ダウンウィダーズ」の取材を続けてきた私には、
飯館村の人々の姿が彼らと重なって見えた。
このブログは、7月29日にも、JVJA(日本ビジュアル・ジャーナリスト協会)の写真集「3・11メルトダウン」を紹介しました。
「3・11」後、「現地」に入った、森住卓氏らフリージャーナリストの思いと葛藤が、写真集の座談会で語られています。
さて、昨日10日、兵庫労連の学習会で、牧野富夫日本大学名誉教授のお話をお聞きすることができました。
テーマは、財界の「春闘方針書=日本経団連2012版経営労働政策委員会報告」を斬る、です。
学習会資料集の内、財界がねらう「エネルギー・環境政策の転換」批判です。
「エネルギー・環境政策の転換」として、「当面の電力安定供給の筋道を早急につけるとともに、安全性確保を前提としてエネルギーの安定供給や経済性により力点を置いた政策への転換を図っていく。
革新的な省エネ技術の開発と、普及に向けた政策支援により、エネルギー、環境技術に一層の磨きをかけ、関連産業のさらなる発展につなげる」と主張している。
ここから、「3.11」福島原発事故後、「原発安全神話」が崩壊し、膨大な「原発利権」が消失するのをなんとしても阻止したいという財界の執念が読み取れる。
いまや「原発ゼロ」化が不可逆的なグローバル規模の大きな流れになっている。
これに逆らっても環境・エネルギー政策の展望は開けない。
コメント
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