東日本大震災から3ヵ月の6月11日、過日近くの公立図書館にリクエストしていた本が入館したと連絡があった。
俳人・長谷川櫂の「震災歌集」(中央公論新社)。
「はじめに」で、長谷川は訴えている。
「今回の未曾有の天災と原発事故という人災は日本という国のあり方の変革を迫るだろう。そのなかでもっとも改められなければならないのは政治と経済のシステムである」。
「もしこの問題を棚に上げたまま、もとのように『復旧』されるのであれば、私たちは今回の地震や津波や原発事故から何も学ばなかったことになる」。
「それは今回の大災害でこれほど多くの人が亡くなった。その無残な死を無駄にすることになる」。
「歌集」は、震災から12日間に詠まれたもの。
俳人が短歌を詠み、思いを表現した。
「原子炉が火を噴き灰を散らすともいまだ現れず東電社長」
「この国のこれから進むべき道をこの宰相もつひに示さず」
「みちみてる嘆きの声のその中に今生まれたる赤子の声きこゆ」
「『こんなとき卒業していく君たちはきつと強く生きる』と校長の言葉」
そして、詩歌の力を
「天地も鬼神も歌はうごかすと貫之書きし『古今集』仮名序」
と信じ、
「『日本は変はる』『変へねばならぬ』という若者の声轟然と起これ」
と呼びかけている。
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