後期高齢者医療制度廃止後の新制度について、厚労省は「中間とりまとめ」を発表したが、きわめて問題が多い。
県政とのかかわりでは、国民健康保険の広域化問題がある。
高齢者医療にかこつけて、「長年の課題である国保を都道府県単位に広域化する」というのだが、一体なぜ広域化なのか。
「小規模の市町では財政がもたない」と言われるが、これはごまかしで実態にもそぐわない。
国保財政の最大の問題は、国庫負担の削減である。
かつて収入の5割を占めていたのに、今は4分の1と半減している。
赤字の保険者と黒字の保険者の割合はほぼ半数ずつであるので、一見すると広域化で平準化されるように見えるが、これは赤字補填のための繰入金を入れた上での話。
繰入金の額は黒字保険者の黒字額の倍にも及んでいる。
つまり、ほとんどの保険者が実態は赤字なのである。
赤字保険者が集まって都道府県単位になったからといって、新しい財源ができるわけではない。
むしろ、大阪府の橋本知事が府で保険料を設定して、市町が繰入金を廃止できるようにする、というもの。
つまり繰入金分を県民の保険料に転嫁しようという目論みである。
医療への国庫負担の投入という根本問題を避けて、高齢者医療制度と国民健康保険の将来はありえない。
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