さる7月6日、宝塚市立西公民館で、兵庫県地域人権運動連合の第3回総会が開催されました。記念講演は「憲法を設計図に、兵庫県政の転換を」との演題で、兵庫県自治体問題研究所事務局長の増田紘さん(元県職員・県職労副委員長)が1時間にわたって行いました。
増田さんは、講演の前半を「世界に誇るべき日本国憲法」に重点を置き、①国民主権、②恒久平和、③基本的人権の尊重、を国民と世界に保障するために、④議会制民主主義と⑤地方自治、を加えて憲法5原則とした「人類の最高法規」であることを強調。
憲法は、第8章で「地方自治」(92条~95条)について「組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」とし、これを受けて地方自治法が制定された。
しかし、戦後の歴史は、「地方自治法の度重なる改悪と、それとの国民の闘いの歴史」であった。
現行の地方自治法は改悪されたとはいえ、「地方公共団体は、住民の福祉を図ることを基本として、地域における行政を自主的に実施する役割を広く担うものとする」と規定。
地方自治の本旨の中身として「①地方自治の自主性・自律性の強化、②地方自治体における住民参与部面の増大、③地方行政事務執行の公正確保、つまり「団体自治」と「住民自治」の双方を実現する」とする基本は守られていると指摘しました。
増田さんは、恩師の「社会に出ても海賊船のボイラーマンにはなるな!」つまり、技術者としての社会的責任を自覚せよ、を座右の銘にしている。
兵庫県職員として採用された時、「憲法遵守」を宣誓する場面があったが、これは単なる儀式で現実には憲法の精神が根付きにくい県政だったと告発。県民と職員を分断する差別人事によって「国民主権・住民こそ主人公」の立場で仕事ができる雰囲気は職場になく、「住民の立場で仕事をすると上司から睨まれ、人事異動で飛ばされたり、承認昇格、賃金差別を受ける」のが実態だと。
さらに、増田さんは、工事検査室時代に、同和建設業者が請け負った建物の完成検査を行ったが、法律が禁じている「丸投げ」の事実に遭遇。この事実を指摘した検査調書が上司によって勝手に書き換えられていたことを数年後に同僚から聞かされたことを告白。
増田さんは、「今日の演題は『憲法を設計図に、兵庫県政の転換を』だが、この設計図に照らせば、兵庫県政は欠陥だらけ」、と「憲法が輝く県政の会」発行冊子「ウイー・ラブ・兵庫」と県の「行革プラン」を参照しながら、「井戸県政は、国民主権、基本的人権より大企業の利益優先、福祉切り捨てのゼネコン型開発行政」であることを具体的に紹介しました。
最後に、増田さんは、現在意図的に「公務員バッシング」がなされているが、「一部の特権官僚は別にして、大半の公務員は、私たちと同じく勤労者の子弟であり、私たち庶民の理解者になりうる客観的素地を持っています。支配権力がもっとも恐れるのは、公務員が、文字通り憲法が規定する『全体の奉仕者』(憲法15条)として国民と団結するようになることです。だから県当局は、県民と公務員を意図的に分断する策動に血道をあげるのです。公務員が『全体の奉仕者』としての自覚を高めるとともに、皆さんも当局のこの策動を見抜いて公務員と団結する道をいっそう重視して欲しい」と締めくくりました。
参加者は、「元県職員の増田さんの話は説得力があった。井戸県政が県民の生活を忘れ、大企業の大型開発優先は、憲法・地方自治法違反との指摘もよく理解できた」と感想を述べていました。
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