「原発即時ゼロ」の流れを押しとどめようと、
「原発ゼロで電気料金が2倍になる」、
「電力が不足する」などの誤った宣伝が広げられ、影響を受けている方もいます。
こうした方とのワンポイント対話です。
Q「原発ゼロで料金2倍になるのか?」
A 政府が公表した2030年の電気料金は、試算した機関によって大きく異なります。いろいろな試算がでていますが、国立環境研究所の試算では、原発ゼロでも、20~25%でも、2030年の料金は月額1万4000円と変わりません。
――不当に高い火力発電コスト
日本の火力発電のコストは高すぎるという問題があります。日本は不当に高い価格で天然ガスを買い取っています。東京電力は、同社の子会社と三菱商事が設立した貿易会社から天然ガスを購入していますが、その価格は、対米販売価格の9倍です。天然ガスの買い取り価格を、国際的な価格水準を反映する仕組みにするようあらためるべきです。
――原発こそ「高コスト」
「原発は安い」というのもまやかしです。原発こそ本質的に「高コスト」であることは、今回の原発事故でも明らかになったことです。いったん大事故が起きれば、その賠償や除染、事故を起こした原発の管理などに莫大な費用がかかります。さらに、使用済み核燃料を長期間保管し続けることなど、将来の大きなコストがありますが計算には入れられていません。
――再生可能エネルギーの価格は普及がすすめば低下する
「再生可能エネルギーが高い」というのも正しくありません。初期投資はかかりますが、大規模な普及と技術開発が進めば、そのコストはドンドン下がっていきます。ドイツでは、太陽光発電の価格は、2004~2012年の間に4割程度へと大幅に下り、風力も10年間で8割程度になっています。
Q「電力が不足するのではないか?」
A
――5~10年は火力での電力確保が必要だが、その間に、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への移行をはかる
当面、節電とともに火力による電力確保が必要になりますが、これは5~10年の緊急避難的措置です。その間に再生可能エネルギーと低エネルギー社会への取り組みをすすめることにより需要はまかなえます。再生可能エネルギーの導入可能量は、原発54基の発電能力の約40倍とも言われまいます。ドイツは、2000年に固定価格買い取り制度を導入しましたが、再生可能エネルギーによる発電量が、2011年には導入前(1999年)の4.1倍に拡大し、原発による発電量を上回りました。
――発送電の分離など、再生可能エネルギーの大規模な普及にふさわしい体制に
再生可能エネルギーの普及を大規模にすすめるためには、発送電分離などの電力供給体制の改革をすすめる必要があります。そして、再生可能エネルギーによる発電事業に、中小事業者はじめ幅広い市民が参入できるようにすることにより電力供給を増やすことができます。
――再生可能エネルギーの利活用は、中小企業への仕事づくりでも大きな可能性
再生可能エネルギーによる発電は、地域密着型の新産業であり、地域経済への波及効果も大きくなります。エネルギーの「地産地消」、地域や自然環境の実情にあった小型の発電装置の開発、製造、維持・管理などは、中小企業への仕事を増やすことになります。雇用も、原発よりはるかに大きな可能性をもっています。ドイツでは、原発関連の雇用は3万人にたいして、再生可能エネルギー関係の雇用は38万人と13倍になっています。
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