国民の言論・表現の抑圧につながるとして、その危険性が指摘されている「人権擁護法案」や自治体の「人権条例」制定の動きが強まっています。
人権擁護法案は、2002年3月に参議院に提案され、3度にわたる継続審議ののち、国民の深刻な権利侵害の救済に役立たないことなどが明らかになり、2003年10月衆議院の解散にともなって廃案になったものです。
しかし、千葉景子法相は6月、政府や特定団体による恣意(しい)的な言論・表現統制の危険性を指摘されてきた人権侵害救済機関設置法案(旧人権擁護法案)の中間報告を発表しました。
県内では、篠山市長が3月議会で「人権条例」制定を表明し、三田市でも「人権まちづくり推進委員会」が「人権条例の制定」等の提言を行っています。
すでに「人権条例」が制定されている三木市では、いまも不公正な同和行政が継続されており、条例が市民の人権を抑圧する仕掛けとなっています。
6月13日に開かれた、兵庫県地域人権連の総会で、日弁連国内人権機関実現委員長の藤原精吾弁護士は、「日弁連がめざす『国内人権機関』設置について」と題して、講演しました。
【藤原弁護士講演(大要)】
従来の政府の「人権擁護法案」を手直ししただけの民主党案は、「特別救済の対象とする人権侵害」を「不当な差別と虐待」だけに限定している。
一方、日弁連の「国内人権機関要綱」は、「国際人権基準が保障するすべての人権」と、公権力の人権侵害も対象にしているものだ。
「人権擁護法案」は、来年1月の通常国会から焦点化するが、このまま推移すると民主党案が通ってしまう危険性があり、日弁連として、対案を「要綱」として発表することになった。
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