オリンピックのサッカーが、男女とも準決勝進出となりました。
選手たちの日ごろの努力とともに、
日本でのサッカーを支える底辺の広がりがこうした成果となっているのでしょう。
しかし、マスコミがサッカーの日本女子代表を「ねでしこジャパン」と呼ぶことに、
私は前々から恣意的に使っていると危機感を持っています。
思えば、国旗国歌法制定が企まれていた頃は、
ちょうどサッカー日本代表のワールドカップ初出場なるかという時期でもあり、
試合前、「日の丸」掲揚とそれを見つめ「君が代」を口ずさむ選手の姿を
TV中継することが多くなり、スポーツニュースでも必ず、その場面をはさんで流しました。
そして、Jリーグに対し女子プロサッカーを「なでしこリーグ」と名づけ、
女子日本代表チームを「なでしこジャパン」、選手を「ねでしこ」と呼ぶようになりました。
最近では、サッカーに限らず、女子アスリートを「日本を代表するなでしこたち」と言ってみたり、
やたら「なでしこ」が広がっています。
私は昨年から「万葉集」を読むようになり、
なでしこは外来種が多く、固有種を区別するため「大和なでしこ」というようになったこと、
なでしこに「撫子」の字があてられるようになったのは、
その花が撫でたくなるように可憐だから、ということを知りました。
また、「従軍慰安婦」問題の学習会で、当時の写真資料を見せていただきましたが、
その中に日本軍が設置した「慰安所」の看板で、
「大和撫子がお相手します」と書かれた文字が読み取れるものもありました。
戦時中、女性は「大和なでしこ」と呼ばれ、銃後の守りを固める厳しさと、
お国のために身を挺する従順さを強いられました。
そのことを直接体験していない自分でも、
スポーツ報道の「なでしこ」連発には不穏な響きを感じます。
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